【福岡版】医薬部外品製造業許可のGMP|プラウト行政書士事務所

医薬部外品

GMP対象の医薬部外品製造には、製造業許可の「薬局等構造設備規則」に加えて「製造管理及び品質管理の基準」に関する省令(GMP省令)に適合することが必要です。

医薬部外品製造業許可申請で都道府県の薬務課の実地調査でGMP適合の検査を受けます。

ここでは、福岡の薬事申請専門の行政書士が、医薬部外品製造業許可のGMPについて解説します。

GMPとは

GMPとは適正製造規範のことです。日本では厚生労働省によって「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」で定められています。

GMPには「①人為的な誤りを最小限にすること」「②製品の汚染及び品質低下を防止すること」「③高い品質を保証するシステムを設計すること」の3つの原則があります。

医薬部外品のGMPの要求事項

医薬部外品のGMPは、16の要求事項がGMP省令で定められています。

1.製造部門と品質部門の設置

医薬部外品の製造所は「品質部門」が「製造部門」から独立し「品質部門」は「品質保証」と「品質管理」を分けることが望ましい。

「製造部門」と「品質部門」の医薬部外品製造販売業者への品質保証を厳密に行うために必要です。

2.責任技術者の業務

医薬部外品の責任技術者の要件は「ア.製造・品質管理業務を統括・管理すること」「イ.品質に問題がある場合の措置を確認し、改善措置ができること」です。

3.職員の配置(GMP組織)

「責任技術者」「製造管理責任者」「品質管理責任者」等の製造管理及び品質管理の責任者を、製造所の組織、規模、業務の種類に応じて設置し、その氏名や役職、会社全体及び製造所全体での位置が、文書及び組織図等から分かることが必要です。

また「責任技術者」が製造所内の組織最高責任者(工場長等)でない場合、「責任技術者」が必要な権限を有していることが書類等で確認できることが必要です。

4.製品標準書の整備

医薬部外品の製造所ごとに品目ごとの「製品標準書」を定め、品質保証部門の承認を受けること。「製品標準書」には以下のことを記載します。

  1. 「製造販売業者との取決め事項、品質標準書との整合性」→製造工程、製造方法、試験方法
  2. 「承認事項との整合性」→名称、成分、試験方法、製造方法、規格、有効期限、用法・用量
  3. 「製造指図書との整合性」→剤形、外観、ロット番号、製造手順、原料の名称・配合量・仕込量
  4. 「原料、資材及び製品の試験検査記録との整合性」→試験検査項目、検査結果の判定方法

5.手順書等の整備

医薬部外品製造業者は、製造所ごとに次の「基準書」「手順書」及び「記録」の作成・保管が必要です。

  1. 衛生管理基準書(構造設備及び職員の衛生管理)→作業環境の清浄管理。作業員の健康管理及び安全管理。構造設備及び作業室の清浄・整理整頓。服装及び入退室基準。作業室内での行動基準。防虫対策。
  2. 製造管理基準書(製品等の保管、製造工程の管理)
  3. 品質管理基準書(検体の採取方法、試験検査結果の判定方法)
  4. 製造所からの出荷の管理に関する手順
  5. バリデーションに関する手順
  6. 変更管理に関する手順
  7. 逸脱管理に関する手順
  8. 品質等の情報の処理に関する手順
  9. 回収処理に関する手順
  10. 自己点検に関する手順
  11. 教育訓練に関する手順
  12. 文書及び記録の管理に関する手順

6.構造設備の管理

GMPの設備基準で、医薬部外品製造業許可の要件とされ、GMP省令及び「薬局等構造設備規則」中に規定されています。また、原薬GMPガイドライン(ICHQ7A)として国際基準の標準的なものです。

(ア)GMP省令→製品等はロットごとにそれぞれの保管条件に従って品質に影響のないように、また資材は管理単位ごとに適正に保管する。

  • 第9条→製品の製造所の構造設備
  • 第32条→医薬部外品の構造設備(第9条を準用。ただし、第5号を除く。)

(イ)薬局等構造設備規則→製品等及び資材を区分して、衛生的かつ安全貯蔵するために必要な設備を有する。

  • 第2章第2節→医薬部外品

【参考】GMPの要求事項に準じた構造及び設備

  • 構造設備は、清掃・保守・作業が容易で汚染防止した設計と建設をする。
  • 混同及び汚染並びに交叉汚染防止のため適切な面積を有する。
  • 原材料等及び作業員の動線を考慮して設計する。
  • 指定事項については、特定の作業区域又はその管理体制を設ける。
  • 適切で清潔な手洗い設備及びトイレット設備を従業員に用意する。
  • 必要な場合、装置、原料、製品等の汚染を防止するための適切な殺鼠剤、殺虫剤、防かび剤、燻蒸剤及び清掃消毒剤の使用に関する文書による手順を設定する。

7.製造管理

「製造管理基準書」「製品標準書」「衛生管理基準書」等の手順書等に基づいた製造作業を行うために、「標準作業手順書(SOP)」「製造指図書」「製造記録書」等を作成し、保管します。

「製造記録」はロットごとに「追跡可能性(トレーサビリティ)」「製造数量」「出荷承認数量」の記録作成が必要です。

  • 原材料等の管理
  • ユーティリティ・製造用水
  • 工程装置
  • 製造及び工程内管理
  • 包装及び表示
  • 保管及び出荷

8.品質管理

「品質管理基準書」「製品標準書」「衛生管理基準書」及び関連する「標準作業手順書」等の手順書等に基づき、計画的な試験検査のために、製品等の「試験検査計画書(試験検査指示書、試験検査依頼書)」や「試験検査記録書(試験検査性関所)」「検体の採取記録」「参考品の検査記録」「試験検査器具類の点検整備記録」等を作成・保管が必要です。

標準作業手順

  • 検体採取(サンプリング)

製品等→ロットごとに試験検査を行うに必要な検体を採取する。

資材→管理単位ごとに試験検査を行うに必要な検体を採取する。

  • 一次標準品、二次標準品の管理
  • 試薬・試液の調整、表示、使用期間認定→試薬・試液、標準品は購入日、使用期限等を表示する。
  • 参考品の保管管理→参考品の保管条件は、製品の指定保管条件と同様とする。
  • 試験機器の点検・清浄化とその確認→必要な設備、器具はあるか。
  • 計測機器の校正→重要な装置、計測器は校正シールを貼付し、校正結果、次回校正予定日等により、校正に係る現状を認識する。
  • 生データの保存方法
  • 逸脱時の調査報告
  • 再サンプリング・再試験の実施要否検討
  • 試験検査業務等の衛生管理
  • 試験検査の変更手順
  • 試験検査結果の判定手順→日本薬局方の遵守、期待される結果。

9.出荷管理

品質部門は出荷管理に関する手順書に基づき、製造管理及び品質管理の記録を評価し、製造所からの出荷判定を行います。

(ア)出荷判定状況

  • 出荷判定を決定するの者は、当該業務を適性かつ円滑に実施しうる能力を有する者で、支障が生ずることがない者。→製造管理者、品質部門責任者等
  • 出荷判定者の決定が行われなければ、製造所からの出荷はできない。
  • 製造記録及び試験記録についても、出荷判定者の確認が望ましい。

(イ)製品の出荷状況

製品の出荷の判定年月日と製品の出納記録との間に整合性が必要です。

10.バリデーションの実施

製造業者は、バリデーション責任者に「バリデーションの責任者の業務」「バリデーションの実施時期」「計画書の作成」「実施結果の報告」等について定めさせます。

(ア)バリデーションの対象

「製造工程」「製造用水供給システム」「空調管理システム」「洗浄等作業」「コンピュータシステム」「試験法」等。

(イ)バリデーションの実施時期

  • 当該製造所で、新たな医薬部外品の製造を開始するとき。
  • 製造手順等に製品の品質に影響を及ぼす変更があるとき。
  • その他必要なとき

(ウ)バリデーションの文書化

バリデーション実施計画書によって「バリデーションの種類」「工程の稼動回数」「重要工程及び判定基準」等、バリデーションをどのように行うかについて明示し、バリデーション報告書により、結果を要約し、期待される結果が得られていることを検証し、品質部門へと報告します。

(エ)適格性

プロセスバリデーション実施前に「重要な装置」「付帯設備」の適格性を確認する。

(オ)プロセスバリデーション

「予測的バリデーション」「工程管理の定期照査、変更時の再バリデーション」「定期的な再バリデーション」「回顧的バリデーション」「コンカレントバリデーション」等の必要に応じて実施する。

(カ)洗浄バリデーション

当該作業を実施することで製品の汚染が防止できることを検証する。

11.変更管理

医薬部外品製造業者は、変更管理責任者に、工程管理が行われていることを保証するため、医薬部外品の品質に影響を与える可能性のある変更事項を対象として評価させます。

変更内容によっては「承認の変更」「一部変更」が必要となります。

(ア)変更による製品の品質への影響を評価

それをもとに変更を行うことの品質部門の承認を受け、記録を作成し、保管する。

(イ)変更に伴う措置

関連する文書の改訂、職員の教育訓練、その他所要の措置。

(ウ)製造販売業者への連絡

連絡責任者を通して事前に変更の承認が必要です。

(エ)必要に応じて変更時の再バリデーションを行う。

バリデーションを行った工程がある場合。

12.逸脱管理

医薬部外品製造販売業者は、逸脱処理責任者に、製造手順等からの「逸脱が生じた場合の記録」「品質への影響の評価」「所要の措置」等を行わせます。

逸脱の内容によっては、こちらも変更管理と合わせて承認事項の変更の手続きを行います。

(ア)逸脱の内容の確認

逸脱の内容を記録する。ランク別に分類するのが望ましい。ランクの決定は「責任者による会議」や「逸脱処理責任者単独の決定」等がある。

(イ)重大な逸脱が生じた場合

製品の品質への影響を評価し、必要な措置をとり、その結果及び措置について記録を作成し、品質部門に対して文書で報告する。そして、報告の評価の結果及び措置について、品質部門から評価を受ける。

品質部門は、報告の内容及びその評価についての記録を作成し、責任技術者に文書で報告する。

(ウ)製造販売業者への連絡

逸脱管理の結果を、医薬部外品製造販売業者の連絡責任者を通して報告する。

13.苦情処理

医薬部外品製造業者は、製造に係る品質等に関する情報を得た場合、品質情報・品質不良責任者に、原因を究明し改善措置を行わせます。

(ア)原因究明

社内・製造所内における連絡の方法及び対処方法等の品質情報等の処理を適切に行うために必要な事項を手順書内に記載する。

(イ)品質情報等の記録

苦情等の内容、原因究明の結果及び改善措置の内容等、原因等が判然としないまま放置されないように記録する。

(ウ)報告の確認

報告は、品質部門及び医薬部外品製造販売業者の確認を受ける。

14.回収処理

医薬部外品製造業者は、製品の品目等に関する理由により回収が行われるとき、回収処理責任者に、回収品の保管等の適切に処理させます。

医薬部外品製造販売業者との取決め事項による処理方法を、手順書内に記載しその記録を作成します。

当該製造所に起因した回収の場合、記録は品質部門及び責任技術者に文書で報告します。

15.自己点検

医薬部外品製造業者は、製造所において、医薬部外品の製造管理及び品質管理が適切に行われているかを、自己点検責任者に定期的に評価させます。

適度な「実施頻度及び実施範囲」「その結果の報告方法・記録方法」等を手順書内に記載します。自己点検の結果は責任技術者へと報告します。

16.教育訓練

医薬部外品製造業者は、教育訓練責任者に、製造・品質管理業務に従事する職員に対して、製造管理・品質管理に関する教育訓練を計画的に実施させます。

教育訓練の実施頻度及び研修対象者の範囲等の教育訓練を適切に行うために必要な事項を手順書内に記載する。

訓練の内容は記録に残る方法が望ましい。教育訓練結果の記録は責任技術者へと報告します。

17.文書・記録管理

医薬部外品製造業者は、文書及び記録についての承認、配布、保管等について、指定した者文書・記録管理責任者に実施させます。

各種の文書には適切な製造管理及び品質管理を行う上で必要な事項が規定され、第三者的な立場で見ても理解出来るような文書でなければなりません。

GMPに規定される文書及び記録は、作成の日から5年間保存します。

医薬部外品製造業許可のGMP構築には

医薬部外品製造業は「薬局等構造設備規則」と「GMP省令」に適合するように要件を整えます。

構造設備要件は、図面の段階から都道府県の薬務課に相談し、施設・設備等で取り返しのつかないような状態を予防します。

GMPの手順書や記録は、「薬局等構造設備規則」と「GMP省令」を読み込み、1つひとつ整えていけば確実です。

福岡の医薬部外品製造業許可のご相談

プラウト行政書士事務所の行政書士は「医薬部外品製造業許可」「医薬部外品製造販売業許可」等の薬事申請に精通しています。

「医薬部外品製造業許可」についてのご相談は「お問合せフォーム」からお願いします。お急ぎのときはお電話で(092-516-7297)

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